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日本、ブラジルに完敗。「集大成」を無残なものにしたザック采配の罪

日本対ブラジルは完敗
(JFAより)

15日、コンフェデレーションズ杯2013の開幕戦、日本代表対ブラジル代表の試合が行われ、日本は0-3で敗れた。点差以上の大敗だった。

試合は前半3分、FWネイマールに先制点を決められると、後半立ち上がり早々の48分にパウリーニョに2失点目を喫す。後半アディショナルイムにも途中出場のジョーにダメ押しゴールを許した。

日本とブラジル。
世界ランキングは32位と22位(ブラジルは杯予選を戦ってないので落ちているというだけだが)と大きく開いていない状況だが、その実力差があるのは明白。とはいえ昨年の対戦では0-4で敗れはしたが、「可能性」を感じさせる内容だった。

この大会は、2010年W杯後にアルベルト・ザッケローニ氏が日本代表監督に就任し、アジア杯で日本が優勝してからこれまでのW杯アジア予選を経て熟成してきたチームの「集大成」となるとともに、来年に迫ったW杯に向けてのチームづくりの方向性を決める大事なものとなるはずだった。しかし、それを指揮官たるザッケローニが壊してしまった。ザックの罪はなんなのか?


■「チームの熟成」を捨てた謎采配。集大成を見る機会は失った

試合がキックオフし、誰もが疑問に思ったのがそのシステムだろう。スタメンは以下の通り。

GK 1 川島永嗣
DF 5 長友佑都、6 内田篤人、22 吉田麻也、15 今野泰幸
MF 4 本田圭佑、7 遠藤保仁、8 清武弘嗣、10 香川真司、17 長谷部誠
FW 9 岡崎慎司

誰もが4-2-3-1、1トップに本田、2列目に岡崎、清武、香川を並べると思うメンバーだっただろう。これまで前田遼一、ハーフナー・マイクらがいない試合の多くでそうしてきたからだ。
しかし始まってみればまさかの岡崎1トップ。これを見て嫌な予感がしたのは私だけでないだろう。

今年1月、岡崎の所属するシュツットガルト対長谷部のヴォルフスブルクで、シュツットはエースのヴェダド・イビセヴィッチが欠場したため、岡崎が1トップで出場した。試合はシュツットが0-2で敗れ、地元紙からは「ボールがキープできず、1トップは荷が重かった」と評された。

岡崎を批判したいのではない。献身的な運動量と守備力、そしてここぞの得点力を持つ岡崎は、派手さはないが今の日本代表で最も頼りになる選手だと思っている。しかし、2月の日本ラトビア戦でも1トップで起用されたことはあるが、クラブでも代表でも致命的に「そこ」での経験が少ない。
ザックはなぜいきなり岡崎を1トップにして試合に臨んだのか? それも選手には当日伝えられたという。その理由をザックはこう語っている。

「岡崎を1トップで起用した理由は、相手のDFラインの特徴を考えたうえで、彼が適任だと考えたから。相手の深いところまで行ってクロスを上げても相手のCBが空中戦に強いため、そこではあまりチャンスがないと判断したので、裏に出し、2列目により技術の高い選手を入れた」

なるほど、と思いたいところだが、この言葉がザックのすべてを表しているかもしれない。机上の戦略しか組めないのではないだろうか? そんな不安が頭をよぎる。

ザックはアジア杯制覇以来、大きくはコアメンバーを変えないでW杯予選を戦った。それはザックがチームとしての「熟成」を第一としていたからだ。彼自身の指向としては3-4-3をメインシステムにしたいのだろうが、今のメンバーがなかなか対応できない結果、4-2-3-1での戦いを選んできた。そのなかで大事になっていたのが前線でボールをキープする選手の存在だ。

基本的には1トップは前田遼一が担ってきた。森本貴幸、李忠成、最近ではハーフナー・マイクなども務めてきたが、今残っているハーフナー以外の選手は残念ながら現時点では「落第」。前田が出られないときのセカンドチョイスが本田であることも、前線でボールキープする選手を欲するザックの指向の表れだ。そしてチームはこの戦い方で熟成してきた。

ところがザックはこの「本番」(監督、選手もこの大会はチャレンジではなく『勝ちに行く』と話している)でいきなりの岡崎1トップ。理由は上記の通りだが、もしそれを裏付けるものが、「ラトビア戦での岡崎1トップ」だけだったとしたら、恐ろしい。

ラトビア戦では序盤こそ苦労したが、たしかに徐々に本田がキープして岡崎が裏のスペースに抜ける動きが増えた。吉田のロングフィードに反応した岡崎がDF裏に抜け出して長谷部のシュートを演出、という場面もあった。そして内田のシュートのこぼれに反応してゴールも決めた。

しかし、だ。相手はラトビアなのである。そしてこの試合以降テストしたこともないシステムをブラジル相手に選んだザックの采配は正しかったのだろうか? 

ザックは自身の「思いつき」で今までと違うシステムで強豪ブラジル相手に臨み、すぐにその目論見が破算。結局、今まで日本代表がやってきたサッカーが正しかったのか、間違っていたのか、可能性があるのかないのか、検証する機会を失した。
メンバーが同じであっても戦い方が違えば、当然同じものではない。そして、大会初戦で完敗したことで、2戦目、3戦目も背水の陣で臨むこととなる苦しい立場に追い込まれた。


岡崎はこの日、結局1トップにまず求められるプレー=ポストが十分に果たせず、結果的に前線の連動を生み出すことはできなかった。

それではこの試合で求められた裏への動きはできたのか?それも残念ながらノーとしか言えない。
岡崎はチャレンジする動きは見せ、ほんのわずかチャンスになった場面もあるにはある。しかしそれ以外ではDFラインからのロングボールはことごとく屈強なブラジル守備陣に跳ね返され、中盤でボールを供給する役の遠藤も終始精彩を欠く始末。裏に抜ける選手を前線に配しても、DFライン裏にボールを送れるパサーがいなかった。

イラク戦でも指摘したが、ザックは「チームとしての選手起用」を念頭に置かないでいるとしか思えない采配が多すぎではないだろうか。


■力尽きた遠藤。直近3試合連続フル出場に意味はあったのか?

完敗を喫したザックは試合後、このように分析した。

「日本らしくない戦い方をしてしまった。理由は2つ。一つは試合開始直後にああいう形でゴールを決められ、入りのところでつまずいてしまったこと。もう一つはカタールからの長距離移動があり、試合までの日数が短かったこと。普段の我々には考えられないようなミスが起こってしまった」

「今回の試合はチームは十分な表現ができなかった。本当はもっとできた」

「本当はできた」などという言葉は子供の言い訳にしか聞こえないが感情論で書いても仕方がないので、最初のコメントの2つ目、「試合までの日数が短かった」=疲労が取れなかった、あるいはコンディション調整ができなかった、という部分について考えたい。

日程はあらかじめ決まっていた。この日程を前提にしたチームプランをもってブラジルに乗り込むべきで、試合後に言い訳はできないはずだ。しかも前戦、11日に行われたイラク戦はW杯最終予選とはいえ消化試合。多くの選手を休ませたりテストする場にできたはずだ。

しかしこれも先日書いたとおり、ザックの中途半端な思惑で無駄な一戦に。スタメンは変えたものの岡崎、香川、長友らコアメンバーはそのままフル出場。とくにこのブラジル戦に大きく影響したのは、遠藤がイラク戦もフル出場したことだ。5月30日ブルガリア戦、6月4日オーストラリア戦、そして11日イラク戦と2週間で3試合フル出場。

結局、ザックも耐えきれずに78分に細貝萌と交代したが、もちろんこれは戦術的なものではなく、遠藤のパフォーマンスが落ちたから。イラク戦で「無駄」にフル出場させておきながら、「無駄」に交代カードを一枚切り、挙句の果てにハードスケジュールを問題にする一連の流れには疑問を感じるざるを得ない。


個の力で日本がブラジルにはいまだ及ばないのは誰もが知るところ。個の力で劣るチームが勝利したり、勝てはせずとも「善戦した」といえるようないいゲームを見せられるかどうかは、チームとしての成熟度と連携、そしてそれをフォローする監督、チームの体制の有無だろう。
結局は日本代表としてのチームマネジメントに失敗し、ザックの「監督としての采配」が影響しての完敗、ということに尽きるのではないだろうか。

重ねて言うが、日本が勝てるとは簡単には思ってない。しかし少なくとも「いいゲーム」を見せてもらいたかったが、選手が奮闘できるシチュエーションをチーム、監督がつぶしたように見えてならない。


■劣勢の日本を救う「スーパーサブ」が長きにわたって不在

また、これは戦術以前の問題、選手選考の部分にかかわってくる話だが、ザック・ジャパンにはいまだ「流れを変える選手」が不在でいることも気にかかっている。
もちろん全試合で結果を出していたわけではないが、苦しい時のチームを助けれくれる「スーパーサブ」がかつては存在した。

スーパーサブ。

ザック・ジャパンになってから、この役割を担う選手の顔、名前を思い浮かべるだろうか? これまで代表招集時には、メディアではそういわれる選手はいた。初期には石川直宏が、最近では乾貴士、宮市亮など突破力のある選手たちが招集された時だ。

しかし、そもそも彼らは招集されても起用されること自体がまれだった。唯一乾は今も招集され起用もされているが、ブラジル戦にかぎらずいまだ「スーパーサブ」としての役割は担えていない。チームとしていいシチュエーションを組めないまま試合に入るのであれば、「試合の流れを変える切り札」は絶対に必要な存在となってくるだろう。


チームマネジメント、監督の戦術、スーパーサブ。W杯を1年後に控えた日本代表には足りないものだ多すぎるように思えてならない。

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