(ユーペンより)2012-13シーズン、スペインのセビージャからベルギー2部リーグのユーペンに期限付き移籍していたFW指宿洋史。1シーズン終えて、26試合出場10得点の成績を残したが、チームは8位で1部昇格はならなかった。
指宿は欧州に渡って以降トップリーグでの活躍はいまだないが、2009-10シーズンにはサラゴサB(4部相当)で27試合12得点、10-11シーズンはサバデル(3部相当)で36試合10得点、11-12シーズンはセビージャ・アトレティコ(3部相当)で32試合20得点、そしてユーペンで10得点と4シーズン連続で二けた得点を挙げている。
指宿の2012-13シーズンのスタッツ詳細は以下の通り。
得点:10
出場試合:26(スタメン20)
出場時間:1818分
途中出場:6
途中交代:9
警告:2
退場:0
■故障に苦しみながらも結果=ゴールを決めた1年移籍以降順調に試合出場、ゴールを重ねていった指宿だったが11月に故障。約1か月試合に出る機会を失った。12月には復帰したものの、また故障をしてしまい、1月にも1か月間を欠場。最終的にはシーズン34試合中26試合出場を果たしたが、コンディションが万全ならもう少しゴールを決めていたかもしれない。
なお、シーズン10得点はチーム内得点王タイ。25歳のドイツ人FWクリスティアン・サントスが28試合に出場して同じく10得点を決めている。その他ライバルFWは31試合6得点、26試合4得点と振るわず、結果的にチームは8位と低迷した。
指宿の期限付き移籍は20130年6月30日まで。契約延長がない限りいったんはセビージャに復帰することとなるが、また期限付き移籍となるか? 残留となるか?
セビージャでは2012年1月の試合でリーガエスパニョーラデビューを果たしてはいるものの、1部リーグでの出場はこの「1試合・7分」のみに終わっている。
■ネグレドしかいない緊急事態のセビージャセビージャは2006-07シーズンに3位となって以降、07-08シーズンに5位、08-09シーズンに3位、09-10シーズンに4位と上位につけてきたが、10-11シーズンに5位となると、10-11シーズンは9位、12-13シーズンは順位を上げたとはいえひとつで8位と振るわなかった。
12-13シーズンのセビージャ最大の課題はFWだった。
スペイン代表にも招集される大エースのアルバロ・ネグレドが36試合25得点と絶大な存在感を発揮したが、そのほかに頼れるFWはゼロ。12年6月に北京国安に移籍してしまったフレデリック・カヌーテの代役を見つけられない1年となった。
2番手ストライカーと言える29歳のFWマヌ・デル・モラルは、22試合に出場したもののシーズン通して1得点の体たらく。次に出場機会を得た25歳のFWババ・ディアワラは19試合に出場して0得点。19歳の若手FWアレハンドロ・ルビオは2試合に出場してやはり無得点と、ネグレド以外の選択肢が皆無の非常事態なのである。
ネグレドの次にゴールを決めたのは司令塔のイヴァン・ラキティッチで8得点。次がMFガリー・メデルと中盤の選手がゴールを決めてきたが、ネグレドがもし長期離脱するようなことになれば事態はより深刻だ。
セビージャがこのような事態になっているのはひとえに経営難が原因となっている。期待の選手ほど高値で売却せざるを得ない状況に陥っているのだ。
その影響もあり、頼りのひとりだったスペイン代表ウィンガーのFWヘスス・ナバスのマンチェスター・シティ移籍が決定。チャンスメイカーもいなくなるなど、事態はより深刻さを増している。
ナバスを放出した代りには、今季バルセロナB(2部相当)で27試合18得点と活躍した若手FWジェラール・デウロフェウに興味を示しているという報道もあるが、まだ公式発表はされておらず、また、デウロフェウのみに賭けられるかも未知数で、ストライカーは多いに越したことはないだろう。
なお、6月に入ってからサラゴサに所属しているポルトガル代表FWエルデル・ポスティガに興味を示しているという報道も出始めているが、これはネグレドの移籍可能性が高まってきているためと見られている。万が一にもネグレドが移籍ということになれば、ポスティガ一人でその穴を埋めるのは相当に難しいだろう。
下部リーグとはいえ、実戦で4シーズン二けたゴールを決め続けてきた指宿が必要となる状況はそろってきた。2013-14シーズンこそリーガエスパニョーラを戦場とできるか? これまで下部リーグで戦ってきたことを鑑みれば、いきなりリーガエスパニョーラの舞台で戦う、という考えは現実的ではないかもしれない。とはいえ、指宿も今年22歳。彼が欧州にわたってからもっとも注目すべきシーズンとなってほしいと願わずにいられない。
- 関連記事
-