日本代表は30日、キリンチャレンジ杯でブルガリア代表戦を行い、0-2で敗れた。
MF本田圭佑が欠場していることもあってか、試合は約1年半ぶりとなる3-4-3でスタート。しかし開始早々3分にブレ球FKをGK川島永嗣が処理しきれずいきなり失点してしまう。後半開始からはいつもの4-2-3-1に戻したもののリズムは取り返せず。70分にはMF長谷部誠のオウンゴールで追加点を許し、決定機もないままに敗戦した。
以下は試合後の日本代表選手たちそれぞれの「敗戦の弁」。
■川島永嗣「(1点目は)難しいボールではあったと思うけど、開始直後のシーンだったし、あそこで止めないと意味がない。今日の試合というのは次の試合(オーストラリア戦)に向けてのものだし、3-4-3をチャレンジしたことは今後に向けて良い機会だったと思うけど、ああいう形で失点したのは自分の責任だと思う。それがチャレンジを難しくしてしまった。
(目の前で予想以上に落ちた?)そうだけど、それでも自分がラインに入っていないといけなかったと思う。ボールがどこにいくかわからない分、ラインに入ることが大事なのに、最後の最後で粘れなかった。
(失点後は落ち着かなくなったが、後ろから声をかけたりは?)後ろから見ていると、(3-4-3では)ボールの動かし方とか、これまでと違う感覚はあったし、そういう意味ではやって悪かったことはないと思う。それに、逆にもっと自分たちがポジショニングだったり、ボールの動かし方だったりを改善することでより有効になるんじゃないかという感覚があった。
(セットプレーの失点が続いているが?)自分としても、チームとしてもセットプレーは意識している。マークの受け渡しもそうだし、自分たちが相手のやってくることを予測して、対応することが大事」
■長谷部誠「この試合に限らず点が取れていないのは苦しい。勝って、内容もよくて、気持ちよく6月4日のオーストラリア戦に臨みたかった。とにかく負けてしまった事実は変わらないので、ここで出た修正点をしっかり確認して、あとは気持ちを切り替えてオーストラリア戦に向けてやっていきたい。
(修正点はセットプレー?)セットプレーは2本とも、(川島)永嗣は難しかったけど弾こうと思えば弾けたと話していた。2点目の僕のオウンゴールはクリアしないといけなかった。ヨルダン戦もオマーン戦もセットプレーからの失点が続いているし、点を取られた場面以外でも危ないのがあった。チームとして取り組んではいるが、どうしても体格で劣ってしまうところがあるなかでいかに対応するか。一番はセットプレーを与えないことだけど、それ以外の部分でもっと体を当てて、競り負けても相手に良い形でヘディングさせないとかそういうことが重要だと思う。
(ブルガリアのペネフ監督が研究してきたと言っていたが、それを感じたか?)ブルガリアは非常によく、球際も強かった。日本でやる試合でこういう相手はなかなかいないと感じた。研究されたという部分では、自分たちのところに高い位置からプレッシャーをかけて潰そうというのが見えた。
(オウンゴールの詳細は?)まずはマークのところ。僕が21番についていたけど、17番が浮いていたので、そこにつきに行こうと全力で走っていったら、足下にボールが来て、ちょっと難しかったけど、クリアしなければいけなかった。17番は交代して入ってきた選手なので、マークの確認がまだはっきりしてなかった。21番が最初に飛び込んできたのでマークについたけど、17番がフリーで、21番がこぼれ球狙いで戻ったので、つきにいった。
(セットプレーの失点が続くとナーバスになる部分もあるのでは?)このところの4失点はセットプレーからなので、それはあると思う。ただ、オーストラリアの選手も大きい選手が多いし、もう1度チームとして確認しなければいけない。
(3-4-3の手応えは?)監督から3-4-3をチャレンジしたいというのがあったし、本番前なのでそういう気持ちがあるというのはひしひしと感じた。そのなかで3-4-3の悪かったところ、良いところの両方が出たと思う。(オプションとして使える手応えは?)今日に関して言えば、前回やった時よりは守備の部分で意思統一できていたので悪くなかった。チームとしてオプションをたくさん持っておくのは良いことだと思う」
■香川真司「無得点というのはすごく残念だけど、紙一重のところはあったので、そういうところで決めていれば変わっていた部分もあったと思う。ただ、負けてしまったのはすごく悔しい。
(個人の出来は)良い形を作れていた場面はあったし、これまでの3-4-3に比べればうまくいった部分を感じた。あとはゴール前の精度、シュートを決めるか決めないか、あと一本のところでパスがつながらなかったり、ミスが出たりしていた。上にいけばいくほど、そういう部分の精度は高いので、次に向けてしっかりと修正していきたい。
(うまくいかなかったのはシステムの問題なのか?)今日はシステムに関しては特別思うことはない。3-4-3と4-2-3-1を両方試して、うまくいくところとうまくいかなかったところが出てきたと思う。シュートにいく形を作れていたところはあるし、そこはポジティブに考えていきたい。
(清武弘嗣、乾貴士の3人でいいコンビネーションが見られた時もあったが?)そういう時間帯でゴールを決めないと厳しい。僕らがあそこで決めきれなかった分、セットプレーから失点するというのはよくあるゲーム展開だし、ああいうところで決めれれば逆に勢いづいた部分があったと思う。(ゴールは遠かった?)遠かったか近かったかわからないけど、最後のゴール前の精度がちょっと足りなかった。相手もすごくタイトな守備をしてきたので、僕に限らず苦労した部分はあった。ただ、センタリングから何本か作ったチャンスを決めないといけなかった。
(オーストラリア戦に向けて決定力向上に向けてできることは?)次は大事な試合だし、切り替えていきたい。ただ、今日ホームで無得点で終わったことはすごく悔しい。良い形は何本か作れたということをプラスに捉えるしかない。次は本当に負けると取り返しのつかない試合なので、勝つために尽力したい」
■清武弘嗣「(3-4-3の後半の方はよかったのでは?)まあボールを保持し、ゴールまで行ってたので、良い流れだったとは思いますけど。(3-4-3は切り札になりそう?)そこは僕が決めることじゃないんで分からないです。けど、前半は最初だけうまくいかなくて、後はうまくはまってた。もう少ししっかりやっていけばすごく良い武器になると思います。
(内容的には少しよくなった?)結果的に負けてますし、ゴールは入っていないんで、そこは課題だと思いますし、いい時間帯に点が取れればよかったんじゃないかと思ってます。
(チームとしては連敗してる厳しい状況だが?)そうですね。結果はついてきてないですけど、次の試合が一番大事ですし、しっかり勝って決めないといけないんじゃないかなと思います」
■吉田麻也「率直にホームで完封負けというのはありえない。最初にあっさりと入れられたのもそうだし、セットプレーからの失点を防げなかったというのは、ここ最近ずっと続いている。それなのに、課題としていたセットプレーでやられてしまったのはちょっと腑に落ちないと思う。
(3-4-3に集中しようとした矢先の失点で少しリズムがおかしくなった?)失点は別として、守備の面でも攻撃の面でもチグハグ感はあったけど、1回や2回でスッとできるものでもない。これから、どこかで試す場面もあるだろうし、仮にオーストラリア戦で突破が決まれば、イラク戦で試せるかもしれない。1つのオプションとして考えて、今日の試合を踏まえて改善していかないといけない点がある。
(オーストラリア戦前に2つのシステムで戦ったことはポジティブに捉えているのか、それとも混乱した部分があったのか?)やったことに関してどうこう言うことはない。うまくいかなかった点はたくさんあるし、4バックであろうが、3バックであろうが、同じようなタイミングで来日しているヨーロッパのチーム相手に不甲斐ない試合をしてはいけない。
(セットプレーでマークをどう改善していくのか?)1つは無駄なファウルをなくすこと。2点目はニアで密集しているなかで触れなかったら、ああいうハプニング的なことも起こる。でも、高い選手を置いているというのもあるしニアで触るのがベスト。ずっと続いている課題なので改善しないといけない。
(危機感はそこまでない?)危機感は常に持ってやっている。理想で言えばヨルダン戦で決めたかったけど、たらればを言ってもしょうがない。オーストラリア戦に向けてやるべきことをやるしかない」
■今野泰幸―3バックの左で、ドリブルで積極的に攻め上がる場面もあったが?
「3-4-3のときはそうやって崩していこうというのはみんなで話していたし、練習でもやっていたので、チャレンジはしているつもりでした。ただ、前の要求が高すぎて……。『もっと前に来い』と(苦笑)」
―3-4-3を久しぶりにやって見えた課題は?
「ポジショニングのところはすごくチャレンジしたつもりなので、体力的にきつかったけど、でも慣れていけばいけると思う。攻撃面では結構いい形をつくれたと思う。今日はミーティングをして、選手のポジショニングの理解度を上げたし、僕自身ももっと深く分かったし、良かったと思う。課題は、今日の試合で言えば、3-4-3、4-2-3-1ではなく、セットプレー。カナダ戦、ヨルダン戦とセットプレーの失点が異常なので。オーストラリアもセットプレーを狙ってくると思うし、ちょっと考え直さないといけない」
―与えないのも大事?
「そうですね。でも日本代表はみんなその意識でやっている。与えないようにはしているけど、何回かはある。そういうところでやられてはいけない。しかも今日はこっちが1点も取れなかったし、残念ですね」
―前の要求というのは3トップ?
「3トップもそうだし、サイドのMFもそう。『もっといいパスをくれよ』という感じですね。自分でも結構やったと思うけど、相手もすごくよくやっていたと思う。僕が上がったときは、普通はボールウォッチャーになってどっちかが空くんですよ。それでチャンスになるけど、今日はぴったり1対1でマンマークを付けててきたので、出せない状況が多かった。でも、いかにそこで気持ち良くプレーさせるかが僕の仕事だと思うし、僕がいいパスを出せば必ずいい攻撃をしてくれると信じているので、そうやっているつもりです」
―守備時の3枚から4枚への横ズレが、2年前は5枚になっていたが、今日は4枚になっていた。
「意識的にそこはやってみようと話していた。やられてもいいから、監督の考える3-4-3をやってみようと。(栗原)勇蔵の素晴らしいカバーもあったけど、以前よりは良い横ズレができていたと思うし、いいボールカットをできたときもあった」
―コンパクトさはどうだった?
「中盤の選手は広かったと言っていたけど、俺は前半も広いと思っていなかったし、崩せそうだと思っていた。相手は中盤がめっちゃうまかった。前線にいい選手はいなかったけど、中盤は落ち着いていた」
―今まで以上にオプションになるという手応えをつかんだ?
「はい。日本代表のメンバーならやれると思いますよ」
■栗原勇蔵「前半は3-4-3で、慣れていない分、横ズレもあったし、結構体力を使って、後半はちょっとバテて、最後はきつかった。ブルガリアは強かったけど、こういう相手に結果を出さないといけない」
―オーストラリア戦に向けては?
「いつものやり方でやるときは今までどおりやればいい。日にちもないし、あとはメンタルと強い気持ち。今やれることはそこだと思う。あと何日かで徐々に上げていきたい」
―今後どういう状況で3-4-3を使いそう?
「守備的ではなく、攻撃的な3バック。点を取りに行くとき、リードされていて追いつきたいときに使うという話は監督もしている。監督は、自分が入ったポジションだけがCBで、(吉田)麻也と今ちゃん(今野)のやったポジションはSBという言い方をする。3人のCBではなく、CBが一人という感覚でやらないといけない。SBと言われているポジションの選手がもっと攻撃に絡まないと、攻撃的な3バックとして機能しない。もっとやって実戦で使えるようにならないといけない」
―後半は4-2-3-1に戻ったが?
「いつもやっているからスムーズだし、例えばパッと顔を上げたときに味方がどこにいるかも感覚的に分かる。そうなるにはやっていかないと。今日はよくなかったかもしれないけど、継続的にやらないといけないと思う。そこは挑戦だし、オプションは増えた方がいい。どんどん吸収して、使い分けていければ」
―オーストラリア戦の直前に3-4-3を試したというのは?
「この試合はオーストラリアも絶対にスカウティングしているだろうから、そこで多少紛らわすというのもあるのかもしれない。監督はそんなことまったく言ってないけど。オーストラリアは絶対に強い気持ちで来るし、うちも引き分け以上でW杯が決まる。気持ちの勝負になると思うし、オーストラリア戦で(W杯出場を)決めて、そのあとのイラク戦とかで、そういうチャレンジができれば、またレベルも上がっていくと思う」
―セットプレーからの失点が続いているが?
「今日もセットプレーで2点やられているし、最近セットプレーでずっとやられている。高さは外国人の方がある。もう一回考え直さないといけない。相手にやられないように。体を当てるだけでも全然違うし、集中だけでも全然違う。本番でセットプレーでやられることほど、もったいないことはない。みんなで確認していきたい」
■内田篤人「後半、良くなるのかなと思いきや、前半の方が良かったんじゃないか疑惑。システムどうこうじゃないですよね」
―何が悪かった?
「何が良かったですかね……。失点はしょうがないので、ああいうゴールは。(川島)永嗣さんに助けられた場面もたくさんあったし、ブレ球だったし、雨だったし。でも、だれも声をかけにいってないと思う。永嗣さんなら自分で持ち直す。強い人だからね。そのあとは早い失点だった分、取り返す時間もあったし、シュートチャンスもあった。試合前のミーティングからブルガリはいいチームだと思っていた。よく頑張るし、技術もある。欧州では普通のレベル。移動もあるし、時差もある。でも欧州では普通ですね」
―前半の問題点は?
「人が3-4-3のポジションにいれば、回せるときは回せた。でも慣れですからね、新しいポジションは。そんなに意識しない方がいいと思う」
―内田選手は負けたあともいつもなら『こういう試合もある』というスタンスですが、今日は?
「変わらず、『関係ないっしょ』と言いたいけど、だれもが大事と分かっているこういう時期に勝てないのは精神的にも差を感じる。強いチームはここというときは絶対に負けない。それは本番前の試合でも、大学生との練習試合でも」
―足りなかったことは?
「動き自体は普通だと思う。守備のポジショニングの連動という面では悪くない。ただ、後半もベンチで見ていたけど、もっと前にいかないといけないと思った。ちょっと決まり事を意識しすぎかな。日本人なので、監督に言われたことを忠実にこなす民族ですから。海外でやっていると、『監督の話、聞いているの?』という感じだけど、それで点が入ってしまえばいいので。考えすぎず、約束事だけしっかり」
―セットプレーの失点は?
「散々言われているけど、個人を責めるのではなく、その前のファウルの取られ方とかですね。向こうは頑張っていたから。こっちがボールを上げても、マイク(ハーフナー)に体を当ててきたり。一歩のところ。変な意味、アジアでは向こうが外してくれたりするから助かるけど、ちょっとレベルが上がると、ごまかしが利かない」
―3連敗はないだろうと思う?
「いやいや、ズルズルいったらありますよ。引き分けでいいという状態からズルズルいくこともあるから。それは避けたいというのはみんな分かっているけど、次はもっと厳しい試合になる。今日のような状況はオーストラリア戦でもあるかもしれない。ちょっと窮屈かな。俺が分かっているからみんな分かっていると思うけど、前へ、前へですね。後ろにじゃなくて」
参照:sportsnavi.yahoo.co.jp nikkansports.com gekisaka.jp
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